これはただの日記です。人にとっては何の関心事も記されてはいない、そういう類の日記でしかありません。
はじめ、私は冒険の物語を書くつもりでした。
遥かな場所、人との特別な出会い、時に大きな危険を含んだ非凡な出来事からなる物語。
でも、そんなものはまったく存在しないのでした。
バイクがあってもなくても、私の関心事はいつでも自分の心の変化にあったからです。
その場合に一番よいことは、日記をつけることでしょう。
どんなにつまらない出来事でも変化を見逃さず、頭に浮かぶことを赤いノートに書きとめていくことです。
何かが起こると、もう元へは戻れないのだから。
この瞬間ごとに、今までの自分とは違うのだから。
バイクに対してまだうまく言い表せない想いがあるなかで、日記は、それをつける人なら誰でもわかるように、今自分がどこにいるのかといった情況を明瞭にしてくれます。
ただ、たまたまこの部屋で今日私が書いたことは、進む方向を見出そうとしている言葉でしかないのです。
だから、誰もじっと聞かないでくれていい。
聞いたらすぐに忘れてくれていい。
そういう、ただの日記です。
7月10日 金曜日 退屈な雨
7月19日 日曜日 道
7月24日 金曜日 ほとんど何もわからない
7月30日 木曜日 塞翁が馬
8月9日 日曜日 よりかからず
8月11日 火曜日 シュスランの花言葉
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バイクにまつわるエッセイ集
1オートバイと一人旅
2自分自身でありたい
3見えないものにしばられたくない
4日本一周という目標
5乗り始めた理由
6乗らない日々の罪悪感
7八丈島へ
8風の香る場所
9拝啓 オートバイ様
10日々平安
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